お名前.com不正アクセスの発端から、GMOが攻撃者とみられる者の要求に応じず損失補償と見舞金を決めた第4報、その後の第5報まで。日付と時刻を追って整理します。
- お名前.com デスクトップクラウドでFXの自動売買(EA)を動かしていた方
- VPSに取引口座のログイン情報を置いている方
- ニュースが断片的で、全体の流れをつかめていない方
- 2026年10月19日の問い合わせから始まり、10月21日に全プランのサーバーを停止しました
- 10月24日の第4報で、顧客情報の持ち出しと、攻撃者からの金銭要求が公表されました
- GMOは要求に応じない方針を明言し、不正取引の実現損失の補償と見舞金を決めました
- サーバーに口座情報を置いていた方は、本文の「利用していた方が確認すること」の5手順を先に見てください
事件の全体像を先に整理する
私がこの記事を書いた理由は、報道ごとに「第何報で何が分かったか」がずれて見えるからです。公式の第1報から第5報までを日付順に並べ直しました。
先に呼び名を整理します。GMOインターネットが公表している対象サービスは「お名前.com デスクトップクラウド」です。Windowsのデスクトップ環境を借りて使うサービスで、ITmedia NEWSは「FX用VPS」と報じました。公式発表の本文に「VPS」という語は出てきません。この記事の題名は、検索で探す方の呼び方に合わせています。
対象サービス
お名前.com デスクトップクラウド(全プラン)
影響の可能性があるサーバー
確認された件数ではない
26,739件
攻撃者が予告した不正操作の対象
確認された被害口座数ではない
国内外の70を超える証券会社・FX会社等の取引口座
見舞金
利用者全員に一律5,000円
代替サービス
乗り換え後6か月間無償
26,739件は、第3報で「対象となり得るサーバー数であり、不正アクセスまたは情報取得が確認された件数ではない」と明記されています。被害を受けた人数や被害総額は、公式に出ていません。
発覚からサーバー停止まで
2026年10月19日〜21日
-
お客様からの問い合わせ
問い合わせを受けて、GMOが調査を始めました。
-
不正プログラムの設置を確認
一部のお客様のサーバー環境で、第三者による不正なプログラムの設置を確認しました。同日に新規申し込みとコントロールパネルを止めています。
-
全プランのサーバーを順次停止(第1報)
被害拡大を防ぐため、全プランのサーバーを順次停止しました。影響の可能性があるサーバーは26,739件。この時点の公式発表は、個人情報の漏えいや悪用の事実は確認されていない、決済情報(クレジットカード情報を含む)は保持していない、というものでした。
10月21日以降、お客様から取引口座に身に覚えのない取引があるとの報告が届き始めます。GMOは関係事業者に状況を共有しました。
取引口座への被害が公式に認められるまで
2026年10月22日〜23日
-
警察に相談
GMOが警察に相談しました。
-
ログイン情報の不正利用の可能性を公表(第2報)
サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報などが第三者に取得され、不正に利用された可能性があると公表しました。MT4/MT5などの取引ツールと取引口座のパスワード変更、ログイン中のセッションの切断を依頼しています。
-
26,739件の意味を補足(第3報)
26,739件は確認された件数ではない、と追記しました。FX取引に使っていない端末からのパスワード変更、全セッションの切断、ウイルス対策ソフトのフルスキャンとバックアップを依頼しています。
この段階で公表されたのは、ログイン情報が取得された可能性までです。個別の情報取得と不正利用の範囲は調査中、という書き方でした。
ここが事件の構造上の要点です。取引口座のログイン情報がサーバー内に保存されていたので、サーバーに入られた時点で、口座の鍵まで一緒に取られる状態でした。だからサーバーの停止だけでは足りず、口座側のパスワード変更が必要になります。
10月24日の第4報で公表された内容
2026年10月24日
-
顧客情報の持ち出しを確認・補償と見舞金を発表(第4報)
お客様の情報が外部に持ち出された事実を確認したと公表しました。攻撃者とみられる者から金銭を要求されていること、その要求に応じない方針であること、不正取引の損失補償と見舞金、代替サービスを同時に発表しています。
-
再度の注意喚起(第5報)
端末のフルスキャンとバックアップ、取引口座のパスワード変更、全セッションの切断を改めて依頼しました。攻撃者を名乗る者からのメールのURLやファイルは開かず、返信もしないよう呼びかけています。
攻撃者とみられる者の要求とGMOが応じなかった理由
第4報で、GMOは攻撃者とみられる者から金銭を要求されたと公表しました。要求に応じない場合の予告は、次の3点です。
- 国内外の70を超える証券会社・FX会社等に開設されたお客様の取引口座への、不正な注文による不正操作の継続
- このサービスと、接続したお客様のPCに関する情報の公開、およびランサムウェア攻撃の実行
- GMOのシステムや運用体制に関する情報の公開
要求額は、公式発表に書かれていません。報道で金額を見かけても、公式で確認できた数字ではないので、この記事には載せません。
GMOの方針は明確です。公式の原文は「攻撃者からの要求には応じません」。理由は、要求に応じても、取得された情報の削除や不正利用の防止が保証されないためです。通信記録など全証拠を警察に提出して、刑事事件としての捜査を求めています。
あわせて、主要な取引所・証券会社に、このサービス経由のアクセス遮断、全セッションの強制切断、不正取引の監視を要請しました。影響を受けたシステムは、ネットワークから切り離しています。
損失補償と見舞金の中身
見舞金
現在このサービスを利用しているお客様全員に、金銭的な被害の有無を問わず、一律5,000円が支払われます。不正取引の損失補償とは別枠です。受け取り方法と支払い時期は、2026年10月30日(金)23:59までに登録メールアドレスへ案内される予定です。
不正取引の損失補償
補償の対象
- 不正アクセスが原因とGMOが認めた取引で、口座に生じた実現損失(取引の差損と手数料等)
- 取引所等から返金があった場合は、その額を差し引いた残りをGMOが支払う
- 取引所等が返金に応じない場合も、対象の損失はGMOが支払う
補償の対象外
- 市場の変動による損失
- 得られたはずの利益
- その他の間接的な損害
申請では、被害の事実が分かる情報の提出が必要です。本人確認書類や、MT4/MT5などの閲覧専用パスワードの提示を求められる場合があります。申請方法、必要書類、受付期間、支払い時期は、11月6日(金)までに公式サイトと登録メールアドレスで案内される予定です。GMOは、補償の手続きでパスワードや暗証番号をたずねることはないとしています。
代替サービス
現在のシステム基盤は、そのままでは再開しません。Windowsデスクトップ環境を使い続けたい方には、独立したクラウド基盤の代替サービスへの乗り換えが案内されます。乗り換え後の6か月間は無償です。本人の同意なく移行されることはありません。提供時期と申込方法は、10月30日23:59までにメールで案内される予定です。
利用していた方が確認すること
ここからは、GMOが第2報、第3報、第5報で依頼した内容を、順に並べたものです。
取引口座と取引ツールのパスワードを変える
FX取引に使っていない端末から変更します。取引口座とMT4/MT5の両方が対象です。サーバーに保存していた認証情報と、同じパスワードを使い回していた他のサービスも変えます。
ログイン中のセッションを全部切る
事業者の窓口に依頼が必要な場合もあります。
取引履歴と残高を見る
身に覚えのない取引があれば、まず取引している事業者に連絡します。
端末のフルスキャンとバックアップ
ウイルス対策ソフトでフルスキャンをかけ、データのバックアップを取ります。バックアップファイルの扱いにも注意が必要です。
攻撃者を名乗るメールは開かない
メール内のURLやファイルを開かず、返信もしません。
よくある質問
出典
2026年10月26日に取得した、GMOインターネットの公式発表です。
まとめ
お名前.com不正アクセスは、10月19日の問い合わせから5日で、取引口座への不正操作、顧客情報の持ち出し、金銭要求まで公表された事件です。
- 10月21日に全プランを停止し、10月22日にログイン情報の不正利用の可能性を認めました
- 10月24日の第4報で、GMOは要求に応じない方針を明言しました
- 補償は不正取引の実現損失で、見舞金は利用者全員に一律5,000円です
- 見舞金と代替サービスの案内は10月30日まで、損失補償の申請案内は11月6日までに出る予定です。案内が出たら、公式サイトと登録メールアドレスで受け取り方法と申請方法を確認してください






